【終身雇用の終焉】黒字企業リストラの背景を読み解き今後を展望する【2022年最新】

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大企業における最新の雇用環境の変化と、将来予想される終身雇用が終焉を迎えるまでのステップを通して自身の今後のキャリヤをタイムリーに考えるきっかけとしたい

2021年黒字企業の早期退職まとめ

早期・希望退職募集とはいえ、特別加算退職金があろうが実際にはリストラ、首切りである。不安を煽る意図は無いが、実質首を切られる側として認識しておく必要があるという意味で、以下では首切りと書きます。

1月20日東京商工リサーチから、2021年に上場企業から開示された早期・希望退職に関するデータが公表された。2020年に続く、コロナ禍にあって繊維や観光業など赤字企業もある一方で、1000人以上の早期退職を実施した5社のうち4社が黒字企業となっています。

募集人数は多い順に日本たばこ産業(JT)の2950人(パート、子会社従業員含む)、本田技研工業の約2000人、KNT-CTHDが1376人、LIXIL1200人などとなっています。想定人数を事前に明示していなかったものの、結果的に1000人以上の応募があったパナソニックも、従業員の数を減らしたという意味では首切りをおこなったも同然です。またLIXILは1200人の募集に対し、965人の応募にとどまりました。

上記のうち赤字だったのはKNT-CTHDだけであり、その他は製造業かつ、募集直近の通期決算が黒字だった。

これが意味することは何か。年齢構成の是正や、先行きの需給動向を見越した「事業の再構築」、「製造・営業拠点の縮小・集約」などを目的としたものがあるといいます。それでは具体的に見ていきたいと思います。

各社の詳細

ホンダは、2021年度に導入した早期退職制度に2000人以上の社員が応募しました。これは国内従業員4万人の5%に当たる。「ライフシフトプログラム」と呼ばれるこの退職制度は55歳以上64歳未満が対象。応募者には通常の退職金にさらに積み増した金額を支給。当初会社が想定していた1000人を大幅に上回る結果です。

同社が早期退職を募集するのは10年ぶりで、40年に電動化100%を打ち出したCNを含むCASEへの対応がその動機です。会社は「別の分野で活躍を目指す人材を支援する転身支援制度だ」と説明し、早期退職者には制度を通じて転職支援もおこなうとのこと。それなら社内でCASEへの対応ができる人材へ転身させればいいと思うのですが、現実は適応が難しい、ということなのでしょう。

パナソニックは今回の早期退職のスタンスを、リストラではなく「特別キャリアデザインプログラムである」とし、早期退職の募集については事業の専鋭化や組織改革に伴って給与が下がる人が出てくるため「選択肢を示した」と説明しています。

一方で、ライバルのソニーGや日立が1兆円以上の最高益を更新する一方、パナソニックは25年ぶりの売上高7兆円割れとなり、営業利益も2580億円程度と2期連続の減益となった。また、応募者の退職後に楠見雄規社長がおこなった会見で、「会社が目指す姿を明確に発信していれば、期待していた人まで退職することにはならなかった」と説明したことも話題となりました。

LIXILは国内の新築住宅市場が急速に縮小する中、実力主義の徹底、機動的な組織づくりを進め、事業構造転換を加速させるためとし、40歳以上勤続10年以上の正社員(工場の人事総務・経理部門や物流センター、デジタル部門は除く)を対象とし、2021年1月12日~22日に1200人を募った。これに対し、965人が応募。同社にとってこの手の首切りは2年連続で、2020年は人数を定めず497人が応募しました。

黒字企業が首切りに踏み切る共通事情

上記に共通するのは、市場構造の長期的変化を見据えた事業の抜本的見直しです。従来、日本の会社では人員削減は困難と言われてきましたが、昨年にとどまらずここ数年の上場企業、特に大企業が早期退職を連発しているところを見ると、もはや日常茶飯事と受け止めざるを得ない。会社体力がある(黒字を出している)うちに踏み切ることは、割増退職金を払えることを意味し、働く側にとってもメリットでもあります。

早期退職の嵐は今年2022年も止まらないことが予想され、この嵐が常態化すると、やがて終身雇用が完全に終焉すると予想します。それまでのシナリオを以下に考察します。

日本における終身雇用崩壊のシナリオ

ここ数年、上場企業の早期退職募集が多いとはいえ、2019年35社、2020年93社、2021年84社と、東証上場企業全体(一部2191社、二部474社、マザーズ424社、2022年1月20日現在)からすると、まだ1割にも満たない状態です。

その状況では、米国のような首切りによる雇用の流動性は高くはなりません。早期退職募集が起こる会社は、宣言せずとも終身雇用は事実上崩壊しており、終身雇用が崩壊した会社の数と終身雇用を維持する会社の数のバランスが崩れ、現在前者1割、後者9割が、いずれ半々に近づくと、雪崩を打つように、大多数の会社で終身雇用が崩れると予想する

いまは少数派の、早期退職を募集して終身雇用が崩壊した会社で早期退職の対象にならなかった若手は全員、おのずと勤め先で将来も働ける希望を捨てることになります。そこで給与水準をこの先維持向上できる転職先として、さまざまな選択肢を検討することになるでしょう。ところが他の大多数の会社で終身雇用が維持されているということは、人員入れ替えも頻繁には起こらないことを意味し、簡単に転職先を見つけることは困難です。この状態は、終身雇用が崩壊した会社が大多数を占める状態である限り、続く。これが終身雇用崩壊の転換期を生きる若手の苦しいところです。

jplenioによるPixabayからの画像

ところが、この「どちらが多数派であるか」のバランスが終身雇用が崩壊した会社のほうが多数派になったら何が起こるでしょうか。

まず行き先となる会社の数が、とあるしきい値を超えることで、労働市場の流動性が一気に高まります。それだけでなく、その活性化した状態が明るみに出ることによって、残りの終身雇用が未崩壊の会社の社員までが、雇用環境の変化に気づくことになります。多くのビジネスパーソンは、そこでよりよい条件で働ける職場を探して、転職市場へ流れることになるでしょう。

ここまでくると、会社側も年功色が完全に無い、成果主義の魅力的な給与体系で、今後の会社を背負う期待の従業員を繋ぎとめ、かつ社外からも優秀な人材を採用してこないといけなくなります。ここで長らく日本の多くの企業が採用してきた終身雇用、年功序列があっさり終わりを迎えることでしょう。

上場企業の半数の会社が早期退職募集を経験し終わり、終身雇用が事実上の終焉を迎えるのをXデーとすると、Xデーはいつでしょうか。

2022年4月から始まる東証プライム。1841社で半数の900社が、この2年の早期退職募集した会社1年あたり約90社だと10年かかるが、倍のスピードとして、2027年前後と予想します。

昨年、サントリーHD社長の新浪氏が45歳定年制を提唱しました。世間の変化に敏感で、主体的に人生を切り開く覚悟のあるビジネスパーソンは、新浪氏の発言を当然として捉え、周りの人が何か言ってこようが、事態が自分に不利になる状況を待たずに動き出し、備えることでしょう。筆者もそうありたいです。

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