【ネクストキャリア#1】元NHKアナが果たした医療福祉現場への転職を解説

生活全般
こんな人に読んでほしい
  • 50代で全く異なる業界にチャレンジした方の事例に学びたい人
  • チャンスを掴むことと準備の大切さを知りたい人

元NHKアナウンサーの内多勝康さんは2016年、52歳でそれまで30年積み上げてきたキャリアから、医療的ケア児の短期入所施設「もみじの家」のハウスマネージャーへ転身されました。朝日新聞で取り上げられていた記事を読み込むと、50代のみならず、セカンドキャリアや天職について考えるヒントが見えてきました。筆者独断の所感も大胆に交え、エッセンスを抽出して紹介します。

  1. 心から興味あることにこだわる
    ・クローズアップ現代では代行キャスターながら、ご自身が取り上げたいテーマに真摯に取り組み、その姿勢が取材先の医療福祉関係者から、転身を提案されるきっかけにもなった。セカンドキャリアのために取材してきたわけじゃなく、同氏のひたむきさ、熱心さがセカンドキャリアを自然と引き寄せた
    ・(筆者所感)キャリア構築のための黄金の方程式など存在しないのではないか
  2. 未来を見据える
    ・50代に差し掛かったとき、当時の職場で自分より上の世代がどういう仕事の形態になり、そこに自分なりのやりがいを見出せるのかをじっくり考える
    ・(筆者所感)結果、現職にやりがいが感じられ、行きたい先の仕事が定年後でも元気にやれるとのであれば、留まる選択肢もあり
    自分が何者なのか、見つめる。自分のために生きるのもあり、人のために生きるのもあり。
  3. 周囲とのコミュニケーションと分かりやすさが声がかかった素地に
    自分がやりたいこと、何者であるのか、日ごろから周囲にわかっておいてもらう
    ・仲間うちでは、職場への不満や文句もいっていた。「ああ、やめてえなとか」
  4. チャンスを掴むことと準備の大切さ
    声がかかったときに、迷いながらも踏み出す勇気
    ・(筆者所感)記事では触れられていないがNHK職員という高給取りだからこそ、配偶者の了解も得て、比較的容易に転身が図れた可能性もある。だからといって、それ以外の人がチャレンジできないわけでは決してない。
    ・(筆者所感)人生で成し遂げたいことの優先順位をみつめ、好機までに固定費削減と長期的投資に取り組めていたらサイドFIREの選択肢として十分可能と考える。

同記事では冒頭、内多さんが「勤続30年、アナウンサーとしてのキャリアを捨てて」と表現されていました。多くの読者からみて、それは違和感ない言葉であり、記者も敢えて使ったかもしれません。ある意味、現代日本のセカンドキャリアに対する世間一般の認識を象徴する言葉かもしれません、内多さんの転身は「30年間、勤め先で積み上げてきたキャリアをかなぐり捨てる行為」なのだと。

たしかに内多さんはNHKにて事務職の経験がなく、エクセルも満足に使えず1年は四苦八苦したと、述懐されています。しかし、内多さんのインタビューを通して伝わってくる言葉から「捨ててきた」感は微塵も感じられません。今の仕事に居場所を見出すことができた結果論といえばそれまでかもしれませんが、知名度からオファーが来るインタビューや著書『「医療的ケア」の必要な子どもたち─第二の人生を歩む元NHKアナウンサーの奮闘記』を通して、医療福祉について認知度向上に貢献され、それまでのキャリアを存分に活かされている様子でした。このようなことは「捨ててきたら」できないアクションです。それで筆者は「捨てる」という表現は使いませんでした。

ただし、何かを得るためには、何かを捨てる必要がある(No pain, no gain)のは確かです。新天地を求め漕ぎ出すために内多さんが捨てたのは、キャリアではなく、NHKで定年まで勤め上げることで得られる安心、安定、現状維持だったのではないでしょうか。その勇気に心から賛辞を送ります。

元NHKアナウンサーはなぜ52歳で医療福祉の現場に転職したのか
 NHKのアナウンサーだった内多勝康さんは2016年、NHKを退職し、医療的ケア児の短期入所施設「もみじの家」のハウスマネージャーに転職しました。52歳のときでした。勤続30年、アナウンサーとしてのキャリアを捨てて、まるで畑違いにみえる福祉の現場への転身をなぜ、決めたのでしょうか。

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

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