先日、久しぶりに筆者のかつてのメインバンク支店に足を運びました。その以前から、銀行に関してポートフォリオを組み替えてきたり、銀行に関するニュースを見聞きしたりして、感じたこと書き連ねたいと思います。
皆さん、最近のメガバンクの預金金利をご存知でしょうか。
年0.001%です。
これは、100万円預けていても、1年あたり10円しか利息がもらえないことを意味します。税金が取られるので、手取りは8円。
で、楽天銀行の場合、楽天証券の証券口座と連携させれば年0.1%になることを知り、メインバンクを楽天に切り替え、預金の多くを映しました。旧メインバンクである、メガバンクの口座も、家賃支払いなど、口座振替の手続きが面倒な額だけ、給与振り込み口座の指定で一定額の振込は辛うじて継続しています。
YouTubeなどでは、そういったお金にまつわる情報が日々流れているので、同じことをやったという方も多いのではないでしょうか。さらに、楽天銀行だと振込手数料が無料になる回数が、メガバンより多く、何かと便利です(300万以上で7回まで無料)。
このようなネット銀は店舗を持つための経費が掛からないので、得られる収益を利息などに振り向けられるメリットがありますが、リアル店舗でないと難しい機能もあります。それが店舗に行く動機となった、両替です。
具体的に言うと、以前の記事で、家のもらい物を売って寄付しよう、と提案したこともあり、さっそく改めて家の中から、金目のものを探したところ、旧札の千円札(肖像画:伊藤博文)2枚、五百円札(肖像画:岩倉具視)1枚、記念硬貨の500円玉(3種、計3枚)が見つかった。売ろうと思えば売れるが、これだけ少数だと、送料などの経費で、原価割れしてしまうのは勿体ないとおもい、出かけるついでにメガバンクのリアル支店に赴いたわけです。
その店は地方都市の中心駅にあるので、店の前はいつも通行するのですが、店舗に入るのは10年以上振りくらいです。それだけ最近は用事がありませんでした。振込は、まずネットバンキング、ATMは100%コンビニで済むからです。
その店舗は、2、3年前に建てられた比較的新しい商業施設内にあるものなのですが、すでにATMは何台かが撤去されていて、3台枠しか使われていませんでした。他はダミーで埋め込まれていたのです。
私だけでなく、多くの人がリアル店舗を必要としなくなっているためでしょう。以前新聞記事でATMは年間の維持費が84万円もかかるそうなので、ただの置き物にそれだけ払うのは無駄以外の何物でもないことをメガバン自身も気づくでしょう。
で、実際両替を行おうとして、窓口に行ったところ、係の人に用紙に記入するように教えてもらい、金額を記入。すると、その紙には両替費用として、当行の口座のお持ちでないひとは手数料550円、と書いてありました。普段持ち歩かなくなった、同行のキャッシュカードを念のため持参してよかったと胸をなでおろして、新札、新硬貨に交換してくれるのを待つこと10分。
お金は無事全て、使用可能な貨幣に交換してくれましたが、最後まで口座を持っているかは聞かれませんでした。おそらく、口座を持っていないといっても550円はもはや受け取れないということで、形骸化しているのでしょう。たしかに高い!10円くらいなら分かるけど、そんなはした金、工数にもならないというのが本音でしょう。
その代わり、お金を受け取って、帰ろうとしたときに、
「キャンペーンがあるので、こちらへ」
と半ば強引に奥のコーナーへ連れていかれてしまった。そこにはクレジットキャンペーンみたいな幟がある机といすがあり、そこで申し込ませようとの勧誘でした。
しかし、銀行の窓口で売りつけられるものは、銀行にとっては嬉しいが、客にとって嬉しいものは何一つないことを知っていたので、それは要らないので、と言い放ち、支店を後にした。
それにしても、何のキャンペーンであるかも説明せずに、誘導するのはいかがなものかと思った。
メガバンクは元々、一般客の預金など欲しくなく、彼らが欲しいのは、ローンなど、客が借りた金に利子を付けて返してくれる場合である。ただ、一般客の金融リテラシーが徐々に向上した結果、投資信託は売れない、振替手数料はより良いサービスを提供するネット銀の勃興により、減るなどにより、一般客から金を巻き上げるチャネルが細る一方なのであろう。以前は帰り際に声を掛けられることなど一度もなかったが、一般客部門の収益が減った結果、来客を引き留める必要が出てきたのではないか。
銀行は、晴れた日に傘を貸すとはよく言ったものだが、一般客も知恵がついた結果、自分のカネを儲けさせてくれない人に興味がなくなったのだ。
ただ、今後ともこういった両替機能や、結婚式に使うような新券は要るので、店舗は必要だが、手数料も取れないその機能のためだけに店舗を構えるというのは、銀行からするとやりきれない。
将来的にどうなるのか、と考えていたところ、窓口を持つ支店を過半数を窓口なし支店にする記事が舞い込んできた。具体的には2017年度末にあった従来型店舗515店のうち、2023年度末までにまず39%にあたる200店舗を削減。さらに160店舗をテレビ電話などを活用した簡素化した店舗に切り替え、従来型の店舗は、30%の155店舗しか残さないという。
両替がどうなるのかは、今後注視していきたい。
一方で、最近公表された21年度の各メガバンの決算短信を見ると、預金残高は、6年連続で前年度比増加を続けており、筆者が考えておこなったような預金流出はまだ世の中一般ではメガバンの預金に目に見える形では、影響が表れていないことになる。
団塊の世代が寿命に差し掛かって、遺産が引き継がれて、さらに人口減が加速すると、必ずどこかでは預金が加速的に減少する局面が表れるはずである。
今は、成熟産業として、メガバンクの配当性向は右肩上がりで、割安な銘柄であるが、預金金利を支払える資産運用の種銭が減少していくことになったとたん、配当金も支払えなくなる可能性があるので、注意が必要である。
コメント