2021年は名だたる大企業から早期退職や人員整理が発表された年でした。依然日本の大多数の大企業では新卒一括採用、年功序列、終身雇用が前提となった働き方ですが、最終形は異なる可能性はあるにしろ、いずれ勤め先は複数社を渡り歩く欧米型の働き方に移行していくことでしょう。昨年はその元年になるかもしれません。いずれにしろ、どんな会社であれ、突然早期退職募集が始まっても「うちだけはないと思っていた」「青天の霹靂」との反応が過去のものとなった時代に突入したことは間違いありません。
そこで本記事では、会社から退職を迫られたときにも慌てず、冷静に自分に不利にならないように事を運べるように、退職を迫られた時の対応についての記事をまとめます。
希望退職を求められたら JT・ホンダ…多様化する「人減らし」:朝日新聞デジタル
希望退職を募った上場企業は昨年は80社以上で前年に迫る高水準だ。経営側はコストを減らしつつ、社員の活躍の選択肢を示したとアピールするが、働き手にとっては難しい判断を求められる。 厚生労働省は2020…
この記事はコロナだけでなく産業構造の変化により、人材整理が増加しているとし、その際の対応について説いている(2022.1.4配信、一部有料会員向け)。
- 会社は退職について促すことはできるが、強制はできない。決める権利は従業員側にある
- 会社側の説明会や上司との面談は録音やメモで細かく記録する。あいまいな点は、納得できるまで確認
- 退職金の割り増しといった優遇策もあるが、将来の生活設計をもとに慎重な判断が必要
- 応募や転籍への同意を拒否すると、不慣れな担当に移されるケースもあるが、経歴や能力を考慮しない不当な異動は裁判で無効になったケースも過去にあるのであきらめないこと
- 経営が厳しくても安易に解雇はできない。困ったら一人で悩まず、各地の労働局や都道府県の窓口、弁護士らに相談。社外の労働組合に入って交渉もできる。とにかく大きな声をあげ、ジタバタし、周囲へ相談しよう
「優秀な社員ほどその場でサインしがち」会社から早期退職を促されたときに注意すべきこととは(Yahoo!ニュース オリジナル Voice)
コロナ禍を経て、早期退職を募る企業は増加しており、最近では企業のトップが「45歳定年制」を提言し話題となりました。コロナを機にリモートワークを導入する企業も増え、働き方は大きく変化しています。長年、
この記事は、名古屋入管の施設で死亡したスリランカ人のウィシュマさん遺族の代理人を務め、アメリカ国務省から「人身売買と戦うヒーロー」にも選出された弁護士の指宿さんへ昨今の退職勧奨に関するトラブルへの対処についてインタビューしたものです(2021.12.8配信)。
要点をまとめると
- 外資系企業などでは「この条件で今この場でサインしなければ、(割増退職金もなく)あなたは解雇になります」と言われ、デキるビジネスパーソンほど従順にサインしがちだが、決してその場ではサインしてはいけない。持ち帰って、弁護士なり労働組合に相談すること
- 労使は対等であり、労働者は使用者の言われるがままではなく、自分の権利を守るために言うべきことは言い、理不尽な要求に対しては堂々と戦う姿勢が大事
- これからは突如退職を迫られる以外にも、タフな交渉が必要な時代であり、あらゆるビジネスパーソンは「交渉学」を学ぶ必要がある。その中の考え方の一つにBATNA (Best Alternatives to Negotiated Agreement、バトナ、最善の代替案) がある
- 交渉においては、これ以上は絶対に引かないという一線と、こういう要求に対しては、こう応じるといった、対応案(BATNA)の束が必要になる。例えば、3か月の割増金を受け取って今すぐ退職しなさいに対しては、「1年間は働かせてもらいます」。それがだめなら「ずっと働き続けます」。それで解雇なら、「裁判で戦います」といった具合だ
BATNAについて日本弁理士会の投稿が参考になる。
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