広告レスの広告を広告でやるという現象
昨日6月5日、もはやめったに観なくなったTVを久しぶりに付けたところ、YouTubeプレミアムの広告を観た。
それはヨガ中の女性が、ヨガ動画の途中で広告が入り、動画が途切れてポーズに四苦八苦しているところにプレミアム視聴している妹が隣で広告レスでスムーズにヨガを楽しむというものだ。
そのヨガ動画が、私も愛用しているB-life Marikoさんのものだったので、余計に注目し、記憶に残っていたのですが、Yahooニュースで本日6月6日、ブロガーでnoteプロデューサーの徳力基彦氏が、上記YouTubeプレミアムについてタイトルの記事を挙げていました。
その記事には途中でこんな記述があります:
このテレビCMを何度も見せられて心中穏やかではないのは、普段からYouTubeに広告を出稿している広告主の方々です。
ツイッター上にも、自分達が支払っているYouTubeの広告費を使って、その広告を自己否定するテレビCMを流すのか、という広告主らしき方々の恨み節の声が散見されます。
徳力基彦氏記事
一見、なるほどと思える指摘です。ただ筆者が思ったのは、この広告料の原資が、必ずしも広告を出稿している広告主だけから出ているとは限らない点です。
会員数が公開されていないので分からないのですが、YouTubeがプレミアム会員の会費から広告費を賄っているとしたら、もはや既存の広告主は蚊帳の外です。
この別チャネルの広告レスを広告で訴えるという形が、もはや広告でユーザー体験の質を何が何でも落とす時代は終わったことを示していると筆者は感じています。
徳力氏の記事では、このCMは「新しいネット動画広告の可能性を見直すタイミング」と締めくくられています。
筆者も先月の記事でYouTubeプレミアムが現代最高の時短アイテムとして紹介したところですし、徳力氏も最近YouTubeプレミアムに加入したばかりと言っています。
近未来の動画ビジネスモデル
ただ、筆者の周りを見ている限り、あらゆる層が有料の広告レス視聴になだれをうつような風は感じません。
それは、YouTubeや地上波に何を求めるのかで変わってくるのだと思います。
前回の記事でも書いたように、YouTuberの登録者数最上位に占めるのは依然、娯楽・エンタメ系動画の配信者たちです。
筆者がYouTubeを使う主たる目的であるビジネス系は伸びが著しいとはいえ、メジャーには程遠い状況ですし、娯楽エンタメ系と逆転することは無いと考えています。
徳力氏も筆者もユーザー体験という、質の高い時間の使い方を目指すならば、行きつく先は有料での広告レスです。
が、娯楽エンタメ系がこの先もメジャーであり続けるならば、メジャー層の行きつく先はCM有の地上波と、CM有のYouTubeの対決になると思います。
大多数はCMが鬱陶しいと思いながらも、娯楽エンタメに対して1,000円以上払うのは馬鹿らしい、又は払うにしても、Netflixか、果てはAmazonプライムで我慢しておこうか、と思うのが関の山でしょう。
そもそも付加価値を生まない動画の楽しみ方で、有限の時間を多数の有料サービスで有意義に埋めることは困難だからです。
徳力氏が言う、「このCMが新しいネット動画広告の可能性を見直すタイミング」というよりは、今回の現象は、時間単価を重視して、より価値のあるユーザー体験を追求する「有料派」層と、質は問わないので、とにかく安く余暇を過ごしたい「無料派」層が、より鮮明になっていく分水嶺ではないかと予想します。
この先、無料派はCM有動画の中で、地上波なのか、YouTubeなのかを使い分けていくことになります。
有料派は、既にやっている、地上波も特に興味のあるものだけを峻別したうえで、必ず録画しCMを飛ばして観ることがさらに先鋭化していくことになるでしょう。
この構図を眺めると、地上波にとってはより厳しい環境に置かれることになりそうです。
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